HTC Viveとは、HTCとPCゲームの巨大プラットフォームであるSteamを運営するValve Corporationが共同開発した、PC専用のVRヘッドマウントディスプレイです。
高精度のトラッキングを可能にするベースステーションにより、基本パッケージだけでルームスケールVRを設置することができます。
Steamのハードウェアカテゴリにも登録されていて、SteamVRを採用した製品として紹介されており、日本での価格は77,880円(税抜き)となっています。
追記:2018年3月19日に価格改定され、HTC Viveの日本での価格は64,250円(税抜き)に値下げされました。
また、発売当初よりマイナーチェンジも行われ、ケーブルがスリムになりHMD本体は軽量化されています。
HTC Viveは日本のお店でも取り扱っているPCVR機器
VRという言葉もすっかり世間一般に浸透し、今更VRがどういったものかなんて説明はいらないですよね。
VR機器の中でもスマホを利用した簡易的なものや、PS4やPCを必要とするハイエンド機器がああるけど、HTC Viveは後者のPCを必要とするVR機器です。
VR体験という意味では、すっごく雑に言っちゃうとPSVRもHTC ViveもOculus Riftも、まあ似たようなものです(笑)
でも細かく説明すると、それぞれ違う特徴があります。
今回は比較というよりは、VIVEの他と違う特徴を取り上げて紹介していきますね。
ちなみにPCVR機器は海外メーカー(HTCやOculusも海外)の製品が多いです。
ですが、HTC NIPPON株式会社という日本法人もあり、VIVEはアクセサリーも含め日本のお店でも店頭やネット通販で普通に販売しています。
(ヨドバシカメラ・ドスパラ・パソコン工房・TSUKUMO・アプライド等、他にもある)
安い買い物ではないので、国内のお店で購入できた方がサポート面でも安心できますね。
最大の利点と特徴は、SteamVR トラッキングにある
HTCとValveの共同開発によって作られたHTC Viveは、SteamVR トラッキング(Lighthouse)技術を採用した製品です。
これは意外と勘違いしている人も多いと思いますが、HTC ViveはPSVRやOculus Riftのようなカメラに映る画像を分析して位置検出するトラッキング方式ではありません。
ベースステーションという二つの多軸レーザー発光器を、使用する部屋の角に対角に設置することで、部屋中に赤外線レーザーが一定間隔で照射されます。(赤外線なので見えません)
VRヘッドセットとハンドコントローラーには多数の受光センサーが搭載されていて、赤外線レーザーを受光した時間や角度から位置を割り出します。
この技術では、部屋が広くても狭くても360°部屋全体がポジショントラッキングエリアになります。また、ルームスケール以外にも、立位や座位でのプレイも可能です。
(最大で5m×5mの約13.7畳とされているが、実際はもっと広くても使えるという報告も)
精度も非常に高く、床に寝転ぼうが壁際にいようが、どこにいても正確にトラッキングしてくれます。
ただし赤外線レーザーは物を貫通しないので、ベースステーションから受光センサーが完全に隠れる場所ではトラッキングできません。(例:机の下や布団の中等)
ベースステーションはPCに繋ぐ必要がなく、PCに余計な負荷もかかりませんし、PCから離れた場所にも設置しやすい。ただし電源をコンセントから供給する必要はあります。
▼ HTC ViveのLighthouseトラッキングシステムの解説動画
PSVRやOculus Riftは、VRヘッドセットやハンドコントローラーにLEDが搭載(Riftのは不可視の赤外線LED)されていて、LEDをカメラ(PS4:PSカメラ Rift:赤外線カメラ)でとらえ、それをPS4やPCで画像分析を通じて位置を検出するという方式。
なのでカメラのカバー範囲内がポジショントラッキングエリアになります。
このようなカメラ方式で、VIVEのように360°のルームスケールを実現するにはカメラが複数必要ですが、カメラをPC等のホストにつないで画像処理しているため、カメラを増やした分だけホストの負荷も増えてしまいます。
カメラの画角はあまり広くないためカメラ付近には死角が多かったり、画像処理が必要なのでカメラから距離が離れすぎるとトラッキング精度が低下してしまうといったことも。
それに比べ、VIVEのレーザー測定方式では画像処理はしないので、処理負荷がかなり軽い上に距離の影響も受けにくく、それでいてトラッキングエリアも十分広くて精度も高い。
しかも一組のベースステーションのトラッキングエリアを、複数のヘッドセットで共有することだって可能です。
ちなみに、Oculusの共同創業者のJack Mccauley氏は、VIVEのトラッキングシステムは非常に手強いとして、発明者に大いなる敬意を払っているという。
完成度の高いトラッキングシステムだからこそ出来る展開
VR機器を買いたいと思っても、買うタイミングが難しいと考える人、結構いるんじゃないでしょうか?
今買っても、もうすぐ次世代機が発売されるかもしれない。そうなるとすぐにまた全部買い替えることになるんじゃないか?なんて考えてしまうとなかなか買えませんよね。
VIVEの場合、この点でも他とは違いがあります。
Valveが最初から、完成度の高いトラッキングシステムを作ったからこそ出来る展開をしているからです。
Valveはライセンス料無しでSteamVRトラッキングを他社に提供しています。
2017年1月の時点ですでにライセンス登録した企業は500社に上るそうです。
これによって、サードパーティーが参入してSteamVRトラッキング対応デバイスやVRヘッドセットが開発され販売されます。
つまりHTC Viveを買うということは、SteamVRトラッキングシステムを導入するということなんです。
もし次世代のVRヘッドセットや新型のハンドコントローラー、その他のデバイスが発売されても、SteamVRトラッキング対応の互換製品なら、自分の欲しいものを選択して買えばいいし、今まで使っていたデバイスもまだ使えるということになりますね。
また、ValveはSteamVR トラッキング 2.0という次世代トラッキングシステムを開発中ですが、現状のSteamVR トラッキング 1.0のベースステーションも、新しいデバイスで引き続き使用することが可能なので安心です。
ちなみにSteamVR トラッキング 2.0のベースステーションは、ベースステーションをさらに追加することが可能になり、トラッキングエリアをより拡大できるようになるそうです。
さらにHTCと、CPUでお馴染みのIntelがVR技術で提携しており、WiGigを用いたVIVE無線化キットを2018年初頭に製造予定となっています。
開発中のハンドコントローラーKnuckles
Valveが開発中の周辺機器であるKnuckles(ナックルズ)は、5本の指全てを別々に認識して自由に開閉できる上に、手を開いても落とすことなく使える画期的なハンドコントローラーです。
『VR ZONE SHINJUKU』でも採用されているHTC ViveとVIVEトラッカー
VR体験施設ではVIVEがよく使われています。
HTCがビジネス向けの商用ライセンスを含むVIVEを販売しているのと、トラッキングシステムが大型施設にも向いていること、VIVEトラッカーがあることも要因になると思います。
日本で一番有名な巨大専用施設といえば、バンダイナムコエンターテインメントが運営する『VR ZONE SHINJUKU』です。
『VR ZONE SHINJUKU』では、有名IPを使ったファンにはたまらないものや、スキーや釣り、ホラー等のバラエティに富んだ数々のVRアクティビティを体験することが出来ます。
そしてこの施設では、VRを活用したアクティビティはすべてVIVEが採用されています。
また、VIVEトラッカーというVIVEの別売りのアクセサリーも活躍しています。
▲ VIVEトラッカー
VIVEトラッカーとは、装着したものをすべてVR空間内に持ち込むことができるようになる製品です。
物だけじゃなく体にも装着することができ、例えば足に装着することで、VR空間内に持ち込んだ自分の足を自由に動かすといったことも可能です。
▲ 手や釣り竿にVIVEトラッカーを装着している
これを活用することで、よりリアルなVR体験が可能になり没入感も非常に高くなります。
VIVEトラッカーはゲーム開発者の表現の幅を広げ、再現したかったゲーム体験を作ることも可能になるため、VR体験施設のゲームには特に向いています
まとめ
まだまだVRは発展途上で、これからも続々と新しいVR機器が発売されます。そんな中で消費者側は何を選べば良いのか正解はわかりません。
FOVEやOSVRといった、発売されたけど遊べるソフトがあまり無く、苦戦を強いられているPCVR機器もあります。
また、せっかく買っても新型が発売されるとトラッキングシステムが変更され、一式全部買い替えなければいけないような製品は理想とは言えません。
やはりPCのVR機器はそれ自体がゲームハードという感じではなく、あくまでPCの周辺機器として発展していってほしいですよね
PCのゲームは、Steamで買って遊ぶのが常識とも言えるほどに、Steamは巨大なPCゲームプラットフォームになっています。
PCVRのゲームも同じようにSteamVRに集まっていて、世界中の多くの人がメインプラットフォームとしてSteamVRを使っています。
そういう意味でも、SteamVRの規格に準拠したVIVEは、SteamVRを利用してPCVRのゲームを遊ぶための、安定した選択肢になりえるのではないでしょうか。
最後に、PCVRのゲームというと、日本ではVRカノジョやぎゃるがんVRのようなジャンルのゲームの話題が多いかもしれませんが、HTC Viveはそれだけじゃありません。
発売初日だけで1200万本を売り上げた、ベセスダの超大作ゲームのVR版『Fallout 4 VR』や、GTA5等で有名なロックスターから『L.A.ノワール:VR事件簿』といったソフトも2017年の年末にVIVEのみ対応で発売されます。
ベセスダやロックスターのような有名ゲームメーカーもソフトを開発しているのなら、これから先のソフトの供給も期待出来そうですよね。
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